音楽を聴く環境〜iPodと15年来のお付き合い〜

音楽の聴き方はこの15年間全く変わっていません。

 

「CDをitunes経由で取り込んでiPod classicに有線イヤホン、ヘッドホンを直刺しし、聴く。」

 

学生時代からずっとこのスタイルです。

 

 

ちなみに、毎月ゲオのCDレンタル55円セールで20枚レンタルし、せっせ、せっせとitunesにインポートしています。

一時期、サブスクとかも齧ってみたんですが、なんか合わないなと思い、結局いつものスタイルに。

私が音楽を聴くタイミングとしては、通勤時や読書、何かの作業をしたりするときのお供として、ですが、こういう日常生活の中で音楽を溶け込ます手段としては、iPodの取り回しが優秀すぎるんです。

 

絶妙な重さと手に収まるフィット感、そしてスクロールパッドでグリグリ回しながら何聴こうかな〜と膨大な曲のリストから探し出すデジタルの中に溶け込むアナログ感。

 

 

未だにiPod使っている理由としては、ただ、それだけです。

 

膨大な音楽ファイルのデータベースを所有している安心感と、それを発掘する楽しさがあるんですよね。

 

iPodには音質の面でよく指摘がありますが、「いい音」と「悪い音」の区別がつかない私にとっては、iPodにそこそこのイヤホン使えば、それなりに音楽が楽しめるんです。ハイレゾなんてわからん。

 

ちなみに一時期ソニーウォークマンを使っていました。

私のようなゴミ耳でも、iPodより音質はよく、その当時はいい買い物したなと思っていたのですが、「サクッと起動し、聴きたい曲をすぐに聴く」という外出先で音楽を聴く時に最も重視されることがウォークマンは劣っていたんです。

まず電源起動に時間がかかります。体感20〜30秒。たかがそれだけと言われればそれまでですが、結構ストレスがかかります。

また、挙動がモッサリしていて聴きたい曲をさがすまでに非常に手間がかかります。iPodみたいにサクサクと動かず、アーティストやアルバムを探す過程でも動作が遅く、選択した項目と動作の挙動が一致せず、意図した曲とは別の曲が表示されてしまったり・・・・。

音質面を重視するのであれば、iPodという選択肢はまず省かれるのですが、外で聴くものにどれだけ音質を求めるのかと突き詰めると、私は操作感を重視します。そうなるとiPodの、あのグリグリ回すスクロールパッドを超えるものに未だ出会えていないんですよね。

 

アップルの作り出したたくさんの商品の中で、何が最高傑作かと尋ねられれば、私は、iPodシリーズを挙げます。数多くの音楽に触れることができ、人生を鮮やかにするきっかけを与えてくれたからです。

iPodはすでに製造が中止され、メルカリやオークションでしか手に入らない代物となってしまったのが残念です。確かに、ほとんどの人がスマホで音楽を聴く中、高級志向のポータブルプレイヤー以外はその役割を果たしたのかもしれませんね。

 

 

ちなみにイヤホンはfinalのE2000(低価格帯の定番カナル型イヤホン)、オーディオテクニカATH-ESW9を使っています。

イヤホン・ヘッドホンは上を見たらキリがないので、何本か試した中、もっとも自分にしっくりきたものを残しています。

後者については、定価4万円前後するらしいのですが、メルカリで中古品を8千円程度で購入しました。だいぶ前のヘッドホンですが、音質もよく、聴きやすい。肩の力を入れることなく、心地よい音楽鑑賞ができます。iPodとの相性もいいと思います。

 

 

 

 

『世界の終わり、あるいは始まり』を読みました。

『世界の終わり、あるいは始まり』を読みました。

 

Amazon.co.jp: 世界の終わり、あるいは始まり (文芸シリーズ) : 歌野 晶午: 本

 

 

行きつけのブックオフの棚に並んでいるのを見かけて、アプリの100円クーポンを使って買いました。

著者の作品は何冊か読んでいるのですが、そこそこ有名な標題作品はノータッチ。

結構分厚く(約500ページ)、果たして完読できるのかと不安でしたが、読み始めるとどんどんページが進む、進む。歌野さんの本って比較的ページ数多めなんですが、それでも1、2日で読めちゃうんです。これはやはり、先が気になるストーリーの作り込みと読み続けさせる文章の旨さのセンスだと思います。

 

内容について簡単にまとめると、

小学生男児の連続誘拐事件が近辺で発生、誘拐男児の両親は犯人からの身代金の要求には応えたものの、後日、男児の死体がみつかり、いずれも短銃で殺害された形跡であった・・・・。しかし、それはあくまで他所(よそ)で起きたこと。うちの家族には関係ない。ときには喧嘩もするけれど、世間一般的には、絵にかいたような幸せなを噛み締めている。そんな中、ふと入った息子の部屋から連続誘拐事件に関係する証拠がつぎつぎと出てきて・・・・。

 

 

 

 

若干ネタバレを挟みますが、

ストーリーの展開として、はっきりとした犯人やそのトリック、動機が語られるわけではないので、いわゆる事件が起こり、容疑者が絞られ、最後に探偵が犯人のトリックを見破り円満解決というタイプを期待して読み進めると、本書の結末には肩透かしをくらかもしれません笑(実際、私もそうでした・・・)。

 

ただ推理小説、というかミステリーとしてはこれはこれでありなのかなとも思いました。今までに読んだことのない形というか、これまでの読書遍歴からいうと、似たようなものとして、貫井徳郎の『プリズム』や西澤保彦『ファンタズム』とか(後者はちょっと違うかもしれませんが、読後の肩透かし感が似ていたので。)

 

ただ、著者のミステリーを何冊か読んでいたので、「驚きのトリック!?」「意外な犯人??」を期待していた自分にとっては、ちょっと期待ハズレだったかな・・・。

 

 

 

『死墓島の殺人』を読みました。

 

『死墓島の殺人』(大村 友貴美著)を読みました。

https://www.amazon.co.jp/%E6%AD%BB%E5%A2%93%E5%B3%B6%E3%81%AE%E6%AE%BA%E4%BA%BA-%E5%A4%A7%E6%9D%91-%E5%8F%8B%E8%B2%B4%E7%BE%8E/dp/404873878X/ref=tmm_hrd_swatch_0?_encoding=UTF8&qid=1692628214&sr=8-1

 

 

物語の展開は、古い歴史情緒の中で本家と分家、田舎と都会、郷土史と絡めた見立て殺人など・・・横溝正史の小説が好きなかたにはピンときそうなキーワードがたくさん出てきます。

 

事件の流れとしてもシリーズ通じて、金田一のような名探偵は出てこないのですが、一応、地元警察の警部補とその部下が中心となって事件を解決していきます。そのため、探偵側の心理描写というより、警察という組織の中でもがく刑事の葛藤が描かれています。

 

本作について、内容をシンプルにまとめると、東北地方にある歴史的に鎖国化した島内で起こる猟奇的連続殺人事件を探偵役である藤田警部補(とその部下)が、本土とを行き来しながら解決していくというストーリーです。事件が起こる島というのが、現代でいう限界集落(人口の50%以上が高齢者)で、島に残っているのは古くから続く3つの家の子孫で占められており、食べていく手段は漁業しかなく、また、本土との連絡手段は一日に3回の定期便しかないという、地理的にもテクノロジー的にも色々な面から取り残された島です。

 

作者はこの手の、「現代における過疎集落の風情」を描写するのがうまく、これは横溝正史大賞を受賞した前作『首挽島の殺人』でもそのうまさが出ています。

町の中には高齢者しかいない、携帯電話の電波も届かない、ネットもない、古くからの言い伝えがいまだに信じられているなどなど・・・・。

こういった感じが大好物なミステリ好きにはたまらんと思います。

 

 

 

 

ここからは若干のネタバレにはなりますが、この島の成り立ちや郷土史が関わりながら事件は展開していくのですが、結果的にトリックやら殺しの動機やらが全くそれらに絡んでこないのは残念というか拍子抜けしました。読者は犯人がわかる最終的な段階でそれを知るのですが、これまで色々と刑事が地元民に嫌われながら調べてきたまちの歴史、言い伝えが直接的に殺人に絡んではこないのです。せっかくここまでドロドロした世界観を作り出したのだから、何か関わらせましょうよ、と。

逆に考えると、本作の事件の(直接的ではないものの)きっかけが出会い系サイトということを考えると、皮肉をこめたアンチテーゼなのかもしれないと勘繰ってしまう・・・。

 

あと、作者は女性の表と裏の心理を描くのが上手いと思います。本作の犯人はとある女性なのですが、地の文では、村の住人からも好印象で真面目な人柄が描かれているのですが、裏の顔は実は・・・といった感じです。犯人の人格のせいで、関わった人たちは悲劇へと突き落とされていくのですが、読み終わった後の彼女に翻弄された男たちの呟きを読むと・・・・なんとも言えない気持ちになります。